フィリピンで事業を行う日系企業が最初に戸惑う税務の一つが、Expanded Withholding Tax / Creditable Withholding Tax(通称EWT / CWT、拡大源泉税 / 控除可能源泉税)です。「取引のたびに源泉徴収が必要」「申告書類が複数ある」「BIR Form 2307の発行・回収が必要」など、日本では馴染みの薄い手続きが続きます。
一方で、この制度を正しく理解し運用できるかどうかは、税務コンプライアンスとキャッシュフロー管理の両面で大きな差につながります。本記事では、拡大源泉税 / 控除可能源泉税の仕組みから、買い手・売り手それぞれの実務対応、TWA指定時の対応、そして多くの企業が悩む「未使用の控除可能源泉税」の問題まで、実務上の重要ポイントを整理します。
拡大源泉税 / 控除可能源泉税とは
同じ取引を異なる立場から呼び分けたもの
Expanded Withholding Tax(拡大源泉税)とCreditable Withholding Tax(控除可能源泉税)は、まったく同じ取引を「支払う側」と「受け取る側」から呼び分けたものです。
フィリピンでは、サービスや物品の売買が行われる際に、買い手が一定税率を源泉税として差し引き、BIRへ代わりに納税します。売り手には差引後の残額が支払われます。例えば取引金額が₱1,000で源泉税率が5%の場合、買い手が₱50を源泉徴収してBIRに納税し、売り手には₱950が渡ります。
①Expanded Withholding Tax(拡大源泉税)
代金を「支払う側」から見た呼称です。源泉徴収の義務は買い手にあり、これを怠るとペナルティの対象となります。以前は源泉徴収漏れにより該当費用の損金算入が否認されるペナルティがありましたが、現在この規定は撤廃されています。ただし源泉徴収義務そのものは引き続き課されており、懈怠した場合は別途ペナルティの対象となります。
②Creditable Withholding Tax(控除可能源泉税)
代金を「受け取る側」から見た呼称です。売り手 / 貸し手からすると、売上の一部が天引きされた状態で入金されるため手取りが減ります。ただしこの天引き分は「法人税の前払い」として扱われ、将来の法人税申告時に税額控除できる権利が生じます。税額控除をCreditと呼ぶことから、Creditable Withholding Tax(控除可能源泉税)と命名されています。
なぜこの仕組みが存在するのか
拡大源泉税 / 控除可能源泉税は、それ自体が税金の「種類」ではなく、法人税を効率的に徴収するための「仕組み」です。本来、法人税は事業年度終了後に課税所得を計算して申告・納税するものですが、これでは税収が数か月から1年遅れます。また赤字の場合は法人税が発生しないため、国家として安定した税収が確保できません。そのため、日常の取引段階で源泉徴収させることで、早期かつ確実な徴税を実現する仕組みとして導入されています。
納税者の立場からすると金銭的にも事務的にも負担が大きい制度ですが、税法上の義務である以上、適切に対応することが求められます。
対象となる取引と税率
日本にも源泉徴収制度は存在しますが、フィリピンの特徴は課税対象となる取引が非常に幅広い点です。サービス取引は原則としてすべて課税対象です。一方で物品の取引は原則として対象外ですが、買い手がTop Withholding Agent(TWA)に指定されている場合には物品購入にも課税されます(詳細は後述)。以下に、代表的なサービス取引の性質別源泉税率を掲載します。
| 取引の性質 | 売り手 / 貸し手の形態 | 売り手 / 貸し手の総所得 | 源泉税率 |
|---|---|---|---|
| 専門家報酬 弁護士、会計士、エンジニア等 | 個人 | Php3,000,000以下 | 5% |
| 専門家報酬 弁護士、会計士、エンジニア等 | 個人 | Php3,000,000超 | 10% |
| 専門家報酬 弁護士、会計士、エンジニア等 | 法人 | Php720,000以下 | 10% |
| 専門家報酬 弁護士、会計士、エンジニア等 | 法人 | Php720,000超 | 15% |
| 経営・技術コンサル報酬 | 個人 | Php3,000,000以下 | 5% |
| 経営・技術コンサル報酬 | 個人 | Php3,000,000超 | 10% |
| 経営・技術コンサル報酬 | 法人 | Php720,000以下 | 10% |
| 経営・技術コンサル報酬 | 法人 | Php720,000超 | 15% |
| 代行業報酬 記帳代行、BPO等 | 個人 | Php3,000,000以下 | 5% |
| 代行業報酬 記帳代行、BPO等 | 個人 | Php3,000,000超 | 10% |
| 代行業報酬 記帳代行、BPO等 | 法人 | Php720,000以下 | 10% |
| 代行業報酬 記帳代行、BPO等 | 法人 | Php720,000超 | 15% |
| 保険代理店 | 個人 | Php3,000,000以下 | 5% |
| 保険代理店 | 個人 | Php3,000,000超 | 10% |
| 保険代理店 | 法人 | Php720,000以下 | 10% |
| 保険代理店 | 法人 | Php720,000超 | 15% |
| 取締役報酬 非従業員の場合 | 個人 | Php3,000,000以下 | 5% |
| 取締役報酬 非従業員の場合 | 個人 | Php3,000,000超 | 10% |
| レンタル/リース料 家賃、車等 | 個人/法人 | – | 5% |
| 特定請負報酬 上記以外の様々なサービス | 個人/法人 | – | 2% |
| サービス/代理人手数料 通関、保険、不動産、移民等 | 個人 | Php3,000,000以下 | 5% |
| サービス/代理人手数料 通関、保険、不動産、移民等 | 個人 | Php3,000,000超 | 10% |
| サービス/代理人手数料 通関、保険、不動産、移民等 | 法人 | Php720,000以下 | 10% |
| サービス/代理人手数料 通関、保険、不動産、移民等 | 法人 | Php720,000超 | 15% |
| クレジットカード会社 による支払い | 個人/法人 | – | 0.5% |
| TWA*²による物品の支払 既定税率の支払い除く | 個人/法人 | – | 1% |
| TWA*²による役務の支払 既定税率の支払い除く | 個人/法人 | – | 2% |
| JV*³による物品の支払 既定税率の支払い除く | 個人/法人 | – | 1% |
| JV*³による役務の支払 既定税率の支払い除く | 個人/法人 | – | 2% |
| EC*⁴による出品者への 支払 | 個人/法人 | – | 0.5% |
*¹ 参照:BIR Website(https://www.bir.gov.ph/WithHoldingTax)
*² TWA:Top Withholding Agentの略。売上・仕入規模等の一定基準を満たし、BIRから上位源泉徴収義務者として指定された納税者のことを指す。詳細は後述。
*³ JV:Joint Ventureの略。ここでは法人格を持つ合弁会社と法人格を持たない共同事業体の両方を指す。
*⁴ EC:Electronic Commerceの略。LazadaやShopee等のプラットフォーマーを指す。
買い手 / 借り手の対応事項
サービスや物品の買い手 / 借り手として「支払う側」である場合、主に3つの対応事項があります。これらは法律上の義務であり、「知らなかった」「忘れた」「間違えた」では済まされません。不備があればペナルティの対象となります。
対応事項①:源泉税の確認と源泉徴収
請求書を受け取ったら、まずそのサービスや物品が拡大源泉税の対象かどうかを確認します。サービスは原則としてほぼすべて対象であるため、取引の性質に応じて上記の税率表から該当税率を選択し、請求金額に乗じて源泉税額を算出します。源泉徴収後の残額を売り手 / 貸し手に支払います。物品の場合は原則として対象外ですが、自社がTWAに指定されている場合は物品購入時にも源泉徴収が必要です。
なお、親切な売り手 / 貸し手であれば請求書に拡大源泉税額とNet Payable(実支払額)を明記してくれるため、それに従うのが無難です。ただし、源泉徴収される金額を最小化しようと意図的に低税率に誘導してくるケースも皆無ではありません。誤りがあった場合にペナルティを課されるのは買い手 / 借り手側であるため、適用税率に疑問があれば専門家に確認することを勧めます。請求書にNet Payableの記載がない場合は、買い手 / 借り手の責任で源泉税率を判断することになります。
対応事項②:申告と納税
源泉徴収した拡大源泉税は、原則として翌月10日までにBIR Form 0619Eを用いてBIRに申告・納税します。また、四半期終了月には翌月末までにBIR Form 1601EQで申告・納税するとともに、Alphalist(取引明細書)の作成・提出が義務付けられています。Alphalistには売り手 / 貸し手の会社名・TIN・取引概要・源泉徴収税額の内訳を記載する必要があり、取引件数が多い場合は相当の作業量になります。
なお拡大源泉税の発生タイミングは、「実際の支払時」または「支払債務が確定したタイミング」のいずれか早い方です。例えば10月15日に請求書が発行され、11月2日に支払いが行われた場合、拡大源泉税は10月15日に発生したとみなされ、10月分のBIR Form 0619Eに含めて申告・納税することになります。
対応事項③:BIR Form 2307(源泉徴収票)の発行
源泉徴収を行った後は、**BIR Form 2307(源泉徴収票)**を作成し、売り手 / 貸し手に交付することが義務付けられています。このBIR Form 2307は、売り手 / 貸し手が法人税申告時に税額控除を行う際に不可欠な書類です。発行の手間はかかりますが、相手方の税務上の権利に直結する書類であるため、確実に発行することが重要です。
例外
サービス取引が原則として課税対象になると述べましたが、いくつかの例外があります。
GPP(General Professional Partnership)への支払い:弁護士事務所・監査法人・会計事務所・建築事務所など、専門業務を目的とするパートナーシップ形態の法人はGPPに該当します。GPPは法人税の課税対象ではなく、パートナー個人の所得税として処理されるため、GPPへの支払いは拡大源泉税の対象外となります。
買い手 / 借り手がフィリピン法人でない場合:フィリピン国内の個人、またはフィリピン国外の事業者(日本法人等)が買い手 / 借り手である場合も、拡大源泉税の対象外となります。
売り手 / 貸し手の対応事項
サービスや物品の売り手 / 貸し手として「受け取る側」である場合にも、3つの対応事項があります。なお、売上が発生しない駐在員事務所や、フィリピン国外の事業者のみへの売上しか発生しないオフショア拠点は、売り手 / 貸し手として拡大源泉税を控除される機会がないため、この章は読み飛ばしていただいて構いません。
対応事項①:請求書への拡大源泉税・Net Payableの記載
請求書への拡大源泉税額とNet Payableの記載は義務ではありません。しかし、買い手 / 借り手が拡大源泉税に不慣れなケースは多く、源泉徴収漏れや税率誤りによるトラブルが実務上は頻繁に発生します。売り手 / 貸し手としても事後の対応工数がかかるため、請求書にあらかじめ記載して無用なトラブルを防ぐことを推奨します。
対応事項②:BIR Form 2307(源泉徴収票)の回収
売り手 / 貸し手にとって最も重要な対応が、買い手 / 借り手からのBIR Form 2307の回収です。この源泉徴収票がなければ、後述する法人税申告時の税額控除が利用できず、天引きされた拡大源泉税がそのままコストになってしまいます。
請求書の発行時点で源泉徴収票の発行を依頼し、その後も定期的にフォローアップすることが実務上欠かせません。自主的に発行してくれない相手が多いため、売り手 / 貸し手側がBIR Form 2307のドラフトを作成して相手に署名のみを求める方法も広く行われており、回収漏れを防ぐうえで有効です。
なお、同一の取引先との間で頻繁に取引がある場合は、月単位・四半期単位でまとめて発行してもらうことが可能です。また、BIR Form 2307はPDFと電子署名でも有効とされており、原本の送付は任意となっています。
対応事項③:法人税申告時の税額控除
BIR Form 1702Q(四半期法人税申告書)およびBIR Form 1702(年次法人税申告書)の申告時に、回収したBIR Form 2307をもとに、源泉徴収された拡大源泉税を法人税額から税額控除します。拡大源泉税は法人税の前払いに相当するため、源泉徴収票によってその事実を証明することで、控除が認められる仕組みです。
TWA(Top Withholding Agent)に指定された場合の特別対応
拡大源泉税をさらに複雑にしているのが、Top Withholding Agent(通称TWA)の認定制度です。TWAは「通常よりも広範囲な源泉徴収義務を負う納税者」として、BIRが売上・仕入規模等に基づいて指定します。選定結果はBIRのウェブサイトに掲載され、個別の通知が届くとは限らない点に注意が必要です。掲載をもって通知とみなされるため、定期的にBIRのウェブサイトを確認し、自社の選定状況を把握しておく必要があります。指定されたことに気づかずペナルティを受けるケースが続発しています。
TWAの選定基準
Revenue Regulation No. 31-2020によると、以下が最低基準として定められています。
- グループA〜B(マニラ首都圏や大都市):総売上または総仕入額が₱12,000,000以上
- グループC〜E(地方都市・その他):総売上または総仕入額が₱5,000,000以上
ただし、上記基準を満たすことで自動的にTWAになるわけではなく、BIRおよび管轄税務署が正式に選定して初めてTWAとなります。多くの日系企業はグループA〜Bに該当し、₱12,000,000の基準を超えるため、選定される可能性は十分あります。また一度選定されても将来的に除外されることがあり、これもBIRのウェブサイトで確認する必要があります。
TWAに選定された場合の追加対応
TWAに選定された場合、公表月の翌月1日から以下の源泉徴収義務が追加されます。
- 物品の購入に伴う支払い:1%
- サービスの購入に伴う支払い:2%(既定税率がある場合は既定税率が優先)
特に影響が大きいのは、物品購入への源泉徴収義務です。通常は物品購入に源泉徴収は不要ですが、TWAに指定されると物品にも1%の源泉徴収が必要になります。小売業・卸売業・製造業など物品の仕入が多い企業では、事務コストが大幅に増加します。
また、売り手 / 貸し手が源泉徴収を拒む場合や、そもそも源泉徴収が困難な場面(オンライン決済・飲食店・小売店での支払い等)も少なくありません。その場合は、拡大源泉税分をグロスアップして買い手 / 借り手が自己負担するか、ペナルティのリスクを覚悟で未徴収のまま進むかという判断を迫られます。
なお、既定の源泉税率が設けられているサービス取引については、TWAの2%ではなく既定税率が優先されます。サービス取引の多くには既定税率があるため、TWAによる追加対応が生じる場面はサービスよりも物品取引の方が実務上の影響が大きくなります。
例外:少額の単発購入の場合
非定期的(年間同一サプライヤーから5回以下)かつ₱10,000未満の少額購入については、TWA指定時の1〜2%源泉徴収が免除されます。ただし、初回取引の段階では年間の取引回数が確定していないため、実務上の判断が難しい場面があります。
未使用の控除可能源泉税
問題の概要
売り手 / 貸し手として受け取る側である場合に発生しやすいのが、「未使用の控除可能源泉税」の問題です。
控除可能源泉税は法人税の前払いであり、法人税額から税額控除できます。例えば年間の控除可能源泉税合計が₱100,000で、法人税額が₱150,000であれば、差引後₱50,000を納税すれば済みます。
問題は、控除可能源泉税が法人税額を上回るケースが実務上頻繁に発生することです。法人税額が₱50,000しかない場合や、そもそも赤字の場合には控除可能源泉税を使い切れず、「未使用の控除可能源泉税」として残ります。
未使用額の処理方法
未使用の控除可能源泉税には、法人税申告時に以下の2つの選択肢があります。一旦選択すると当該年度内での変更はできません。ただし、年度ごとに選択を変えることは可能です。
方法①:翌期以降への繰り越し(Carry Forward)
最も一般的な方法です。未使用の控除可能源泉税を翌期以降に繰り越し、将来の法人税額から控除します。繰り越しは期限なく行えるため、翌期に使い切れなければさらに翌々期へと繰り越し続けることができます。
方法②:還付申請
未使用の控除可能源泉税を現金またはTax Credit Certificate(TCC、税金控除証書)として還付申請する方法です。TCCはあらゆる税金から控除できる権利であり、現金還付と同等に扱われます。なお現金還付よりもTCCの方がBIRとして直接キャッシュアウトを伴わないため、審査を通りやすいとも言われています。
ただし、還付申請には大きなリスクがあります。BIRの審査過程で税務調査が実施されますが、本来は法人税のみが対象であるにもかかわらず、実態としてその他の税目も含めた網羅的な調査が行われます。還付を見込んで申請したにもかかわらず、税務調査による追徴税額が還付額を上回るケースも起こり得ます。調査対応の工数と外部専門家費用も相当な負担になるため、還付申請は対象額が相当程度あり、かつ税務調査に対応できる体制が整っている場合に限って検討すべき方法と言えます。
実務上は①繰り越しを選択するケースが大半ですが、毎年繰り越しを続けると未使用額が年々積み上がる問題が生じます。
蓄積が起きやすい構造
なぜ蓄積が起きやすいかは、数字で見るとよく分かります。例えばコンサルティング業を営むフィリピン法人A社で、売上高₱10,000,000(すべてフィリピン国内法人向け)があるとします。コンサルティングサービスの源泉税率は15%のため、A社には年間₱1,500,000が源泉徴収されることになります。
仮にA社の課税所得が₱3,000,000(利益率30%)だとすると、法人税額は₱3,000,000 × 20% = ₱600,000です(課税所得が₱5,000,000以下のため軽減税率20%が適用)。控除可能源泉税₱1,500,000に対して法人税額は₱600,000しかなく、₱900,000が使い切れずに残ります。利益率30%という、コンサルティング業としてもかなり高い水準でもこの結果です。
逆算すると、源泉税率15%の取引で控除可能源泉税を当期中に使い切るには、₱1,500,000 ÷ 20%(法人税率)= 課税所得₱7,500,000が必要です。売上₱10,000,000に対して₱7,500,000の課税所得、つまり75%の税引前利益率が求められることになり、現実的には達成が困難です。
実際にフィリピン進出から一定程度経過した企業の財務諸表を見ると、多額の未使用控除可能源泉税が資産計上されており、年々積み上がっているケースが珍しくありません。
蓄積を抑制するための対策
制度上、蓄積を完全に防ぐことは難しいですが、ある程度の抑制は可能です。ただし、利益率を上げること以外は本質的な解決ではないため、本業への影響を確認しながら検討してください。
利益率を上げる
最も根本的な対策です。利益率が高まれば法人税額が増え、控除可能源泉税を使い切りやすくなります。源泉税対策の観点でも最も効果的な手段です。
海外向けの売上比率を高める
フィリピン国外の事業者(日本の親会社等)への売上には拡大源泉税が課されません。オフショア拠点やBPOとして日本の親会社から業務を受託している場合、その売上は控除可能源泉税の発生につながらないため、国内向け売上との比率を意識的に調整することで蓄積を抑制できます。
個人向けの売上比率を高める
買い手がフィリピン国内の個人である場合、拡大源泉税の徴収義務がないため控除可能源泉税は発生しません。BtoC取引の比率を高めることで全体的な発生額を抑えられます。
物品販売の売上比率を高める
物品の取引は原則として拡大源泉税の対象外です。サービス提供に加えて物品販売も手がけているビジネスモデルであれば、売上構成を物品寄りにシフトすることで控除可能源泉税の発生を抑制できます。
源泉税率の低いサービスの売上比率を高める
例えば15%が適用されるコンサルティングサービスよりも、2%の特定請負報酬(Specific Contracted Services)が適用される業務の比率を高めることで、同じ売上規模でも控除可能源泉税の発生額を大幅に抑えられます。自社のサービスラインナップと源泉税率を改めて整理し、税率構成を意識したサービス戦略を検討する価値があります。
適用税率の区分を専門家と見直す
実務上、必ずしも最適な源泉税率区分が選ばれているとは限りません。例えばコンサルティング報酬として15%が適用されているケースでも、業務内容によっては特定請負として2%が妥当な場合があります。また、一つの請求書にまとめて記載されている複数の項目が一律に高い税率で源泉徴収されているケースでは、項目ごとに分けて適切な税率を適用することで全体的な源泉徴収額を適正化できる場合があります。現在の取引内容と適用税率を専門家と精査することで、過大な源泉徴収を是正できる可能性があります。
おわりに
拡大源泉税 / 控除可能源泉税は、フィリピンで事業を行う上で避けては通れない制度でありながら、その複雑さゆえに対応漏れや誤りが頻発しています。買い手としての源泉徴収・申告・BIR Form 2307の発行、売り手としての源泉徴収票の回収・税額控除、そして控除可能源泉税の蓄積管理まで、適切に運用するには相応の知識と実務経験が必要です。
未使用の控除可能源泉税の問題は放置するほど資産項目として膨らんでいくため、現状の把握と対策の検討を早めに進めることが重要です。拡大源泉税 / 控除可能源泉税に関するご相談は、弊社までお気軽にお問い合わせください。