2026年4月13日、フィリピン大統領 Ferdinand R. Marcos Jr. は Executive Order No. 113(大統領令第113号)に署名し、第13次Regular Foreign Investment Negative List(以下「本ネガティブリスト」)を公布しました。本記事では、その内容の参考日本語訳を掲載します。

外資規制の背景・仕組み・実務上の対応策については、別記事外資規制をあわせてご参照ください。なお、Negative Listの英語原文PDFはこちらよりダウンロードいただけます。

免責事項:本記事は参考情報の提供を目的とした参考訳であり、法的効力を持つ公式翻訳ではありません。実務上の判断にあたっては、必ず原文をご確認ください。

第13回ネガティブリストについて

本ネガティブリストは、Foreign Investments Act of 1991(外国投資法、共和国法第7042号)第8条の規定に基づき、Department of Economy, Planning, and Development(経済計画開発省)の勧告を受けて大統領が改訂・公布するものです。前回(第12次)から改訂が加えられ、2026年4月に施行されました。

本リストは以下の2つのパートで構成されています。

  • List A:憲法および個別法の規定により外資比率が制限される業種
  • List B:安全保障・国防・公衆衛生・道徳・中小企業保護を理由として外資比率が規制される業種

本リストに記載されていない業種については、原則として外資100%での参入が認められます。

List A:憲法および個別法により外資比率が制限される業種

外資出資が一切認められない業種(外資0%)

  1. マスメディア(録音・録画を除く)。ただし、インターネット事業を除く。(憲法第16条第11節第1項;1994年5月5日付大統領覚書;法務省意見第40号〔1998年〕)
  2. 建築士としての法人業務(※互恵主義に基づき実務を行うことが認められた外国人有資格者は、同一職種の法人に出資できる場合あり)
  3. 協同組合(共和国法第6938号「フィリピン協同組合法」第3章第26条、および共和国法第9520号「フィリピン協同組合法典2008」第2章第10条)。ただし、フィリピン生まれの元国籍者の出資を除く。
  4. 民間警備業(共和国法第11917号「民間警備サービス産業法」第4条)
  5. 小規模鉱業(共和国法第7076号「1991年国民小規模鉱業法」第3条)
  6. フィリピン群島水域、領海および排他的経済水域における海洋資源の利用、ならびに河川・湖沼・湾・潟湖における天然資源の小規模利用(憲法第12条第2節)
  7. 闘鶏場の所有・運営・管理(大統領令第449号「1974年闘鶏法」第5条〔a〕)
  8. 核兵器の製造・修理・備蓄および/または配布(憲法第2条第8節)
  9. 生物・化学・放射線兵器および対人地雷の製造・修理・備蓄および/または配布
  10. 爆竹その他の火工品の製造および小売(共和国法第7183号第5条)

外資出資が25%までの業種

  1. 民間人材紹介業(国内雇用・海外就労を問わず)(大統領令第442号「フィリピン労働法典」第27条)
  2. 防衛関連施設の建設工事(連邦法第541号第1条および第2条〔b〕)

外資出資が30%までの業種

  1. 広告業(憲法第16条第11節第2項)

外資出資が40%までの業種

  1. 払込資本金が2,500万ペソ未満の小売業(共和国法第11595号第2条)(※外国小売業者には以下の条件が課される:払込資本金2,500万ペソ以上であること;出身国においてフィリピン人小売業者の参入が禁止されていないこと;1店舗以上を有する場合は1店舗あたり最低1,000万ペソの投資を行うこと)
  2. 天然資源の探査・開発・利用(水源からの直接取水を含む)(憲法第12条第2節)。ただし、以下を除く:(a) 鉱物・石油等の大規模探査・開発・利用に関する技術的または財政的支援協定;(b) 太陽光・風力・水力・海洋・潮力エネルギーなどの再生可能エネルギー(外資100%可)
  3. 私有地の所有(憲法第12条第7節;連邦法第141号第22条;共和国法第9182号第4条)。ただし、フィリピン国籍を離脱したフィリピン生まれの元国籍者であって、フィリピン法上の契約締結能力を有する者を除く。
  4. 公益事業の運営(憲法第12条第11節;連邦法第146号第13条;共和国法第11659号第4条による改正)(※公益事業とは、(1) 配電、(2) 送電、(3) 石油・石油製品のパイプライン輸送システム、(4) 水道・廃水パイプラインシステム(下水を含む)、(5) 海港、(6) 公共交通機関を指す)
  5. 宗教団体・ミッション系、外国外交官およびその家族向け、その他外国の一時居住者向けの学校、ならびに短期高度技能開発を目的とし正規教育に含まれない機関を除く教育機関(憲法第14条第4節第2項;共和国法第11448号「国境を越えた高等教育法」第9条)
  6. 米・トウモロコシおよびその副産物の生産・加工・精米・処理・取引(小売を除く)、ならびに交換・購入その他の方法による取得(大統領令第194号第5条;国家食糧庁評議会決議第193号〔1998年〕)(※事業開始から30年以内に外国人投資家は保有株式の最低60%をフィリピン国民に譲渡する義務あり)
  7. 政府による物品調達(共和国法第12009号施行規則第52.4.1.1条〔b〕〔c〕〔e〕)
  8. 政府によるインフラ事業調達(同施行規則第52.4.2.1条〔b〕〔c〕〔e〕)。ただし、フィリピン側が保有しない技術・工法を要する構造物の建設については、外国の所有・参加が75%まで認められる場合がある。
  9. 政府によるコンサルティングサービス調達(同施行規則第52.4.3.1条〔b〕〔c〕〔e〕)
  10. 商業漁船の操業(共和国法第8550号「1998年フィリピン漁業法典」第27条、共和国法第10654号による改正)
  11. コンドミニアム区分所有権の所有(共和国法第4726号「コンドミニアム法」第5条)

外資出資が100%まで認められる業種(条件付き)

  1. 通信事業の運営・管理:相手国がフィリピン国民に対して相互主義を認める場合は外資100%可;相互主義が認められない場合は外資50%まで(共和国法第11659号第25条;同施行規則第9章第45条)

List B:安全保障・国防・公衆衛生・道徳・中小企業保護のため外資比率が規制される業種

外資出資が40%までの業種

  1. フィリピン国家警察(PNP)の許可を要する以下の製品・原材料の製造・修理・保管および/または流通(共和国法第11647号施行規則):
    • a. 銃器類(ハンドガンからショットガンまで)、銃器部品・弾薬、銃器の製造に使用または使用を意図した器具・用具
    • b. 火薬
    • c. ダイナマイト
    • d. 爆破用品
    • e. 爆発物の製造に使用される原材料(以下を含む):塩素酸カリウム・ナトリウム;硝酸アンモニウム・カリウム・ナトリウム・バリウム・銅(II)・鉛(II)・カルシウム・亜酸化銅;硝酸;ニトロセルロース;過塩素酸アンモニウム・カリウム・ナトリウム;ジニトロセルロース;グリセロール;アモルファスリン;過酸化水素;硝酸ストロンチウム粉末;トルエン
    • f. 望遠照準器、狙撃スコープおよびその他類似装置
    ただし、これらの製造・修理については、国家警察長官が外国国籍者に対して特別に許可する場合がある。
  2. 国内企業による軍事用品(matériel)の開発・生産・製造・組立・整備・運用(共和国法第12024号)(※軍事用品とは、軍事技術・兵器システム・兵器・弾薬・戦闘服・防具・車両およびその他類似の軍事装備・資材を指す)
  3. 法律に基づき承認された危険薬物の流通・製造(共和国法第9165号「2022年総合危険薬物法」第5条および第8条;共和国法第7042号)
  4. 公衆衛生・道徳上のリスクを理由として法律により規制されるサウナ・蒸し風呂・マッサージクリニックおよび同種の営業(共和国法第7042号)
  5. 全形態のギャンブル(共和国法第7042号)。ただし、Philippine Amusement and Gaming Corporation(フィリピン娯楽賭博公社、PAGCOR)との投資協定に基づく事業を除く。
  6. 払込資本金が20万米ドル相当未満の国内市場向け零細・小規模企業(共和国法第7042号)
  7. 払込資本金が10万米ドル相当未満の零細・小規模企業であって、以下のいずれかに該当するもの(共和国法第7042号):
    (i) Department of Science and Technology(科学技術省、DOST)が先端技術と認定した事業を行うもの;
    (ii) Department of Trade and Industry(貿易産業省、DTI)・Department of Information and Communications Technology(情報通信技術省、DICT)・DOSTがスタートアップまたはスタートアップ支援者として推薦・認定したもの(共和国法第11337号「革新的スタートアップ法」);
    (iii) 直接雇用の過半数がフィリピン国民であり、かつフィリピン人従業員数が最低15名以上のもの

おわりに

以上が、2026年4月に公布・施行された第13回外国投資ネガティブリスト(Executive Order No. 113)の参考日本語訳です。

個別の業種がネガティブリストに該当するかどうかの判断や、規制に対応した法人設立スキームの検討については、弊社までお気軽にご相談ください。