駐在員の確定申告とは

フィリピンに赴任する日本人駐在員の多くは、出向先のフィリピン法人と出向元の日本本社の2か所から給与を受け取っています。フィリピンで働いて得た所得は、どちらの国から支払われたかにかかわらずフィリピンでの課税対象となりますが、所得税の納付状況は支給元によって異なります。

給与の支給元フィリピンでの所得税
フィリピン法人からの給与毎月の源泉徴収により納付済み
日本本社からの給与(基本給・留守宅手当等)源泉徴収されておらず未納

この未納となっている部分について、両方の給与を合算して正しい税額を計算し、不足分を納付する手続きが駐在員の確定申告(BIR Form 1700)です。期限は対象年の翌年4月15日で、対応を怠るとペナルティの対象となります。義務があること自体が認識されておらず、赴任から数年間申告が漏れていたというケースも実務上少なくありません。

課税範囲の考え方・税率・グロスアップ計算など制度の詳細は、解説記事「フィリピン駐在員の確定申告の基礎」をご参照ください。

確定申告の流れ

年始から準備を始め、期限に間に合うよう以下の流れで手続きを進めます。

  1. 日本本社支給の給与情報の整理(給与明細・賃金台帳・源泉徴収簿等)
  2. フィリピン法人支給の給与情報の整理(BIR Form 2316)
  3. 給与を合算し、グロスアップ計算により所得税額を算出
  4. 確定申告書(BIR Form 1700)の作成・駐在員ご本人の署名
  5. 納税資金のご送金
  6. 当社がBIRへ申告書を提出・納税し、証憑をご共有

当社サービスの特徴

複雑なケースに対応できる実務経験

駐在員の確定申告は、赴任・帰任の時期や給与の支給形態によって扱いが大きく変わります。当社はこれまで延べ300人分の確定申告を代行しており、以下のようなケースにも対応しています。

  • 年の途中で赴任・帰任した場合
  • 長期出張が183日を超えた場合
  • 役員報酬を受領している場合や、日本本社の業務を兼務している場合
  • 就労ビザの取得が長引き、現地給を受領できていない場合
  • 過去の未申告分を遡って申告したい場合
  • 日本本社の負担で住宅や車が支給されている場合
  • フィリピン国内で転職・グループ内転籍した場合

日本本社と直接、日本語でやり取り

確定申告に必要な給与情報は、給与明細・賃金台帳・源泉徴収簿といった日本語の資料から読み解く必要があり、留守宅手当や住宅の会社負担など、駐在という制度そのものへの理解も欠かせません。当社は日本本社の人事・総務のご担当者様と直接日本語でやり取りするため、海外の税務手続きに不慣れな場合でも、必要な資料と確認事項を整理してご案内しながら進めます。

給与情報を現地社員に開示しない体制

駐在員の合算給与は現地社員の給与と大きな差があることが一般的で、社内で情報が広まると不要な摩擦の原因になりかねません。当社は出向先の現地社員を介さず日本本社と直接やり取りする体制のため、合算給与の情報が社内に開示されるリスクを抑えられます。

料金

確定申告の代行は1名あたり₱35,000で、対象者が複数名の場合は人数に応じたディスカウントを適用します(いずれもVAT別)。

対象人数割引率1名あたりの料金
1名₱35,000
2名10%₱31,500
3名15%₱29,750
4名20%₱28,000
5名25%₱26,250

6名以上は割引率が5%ずつ拡大し、最大50%(1名あたり₱17,500)まで適用されます。確定申告はスポットでのご依頼も承ります。日常の会計記帳や税務申告を当社に委託されていない場合でも、確定申告のみのご依頼に対応します。

よくあるご質問

Q. 経理を自社や他社で行っていますが、確定申告だけ依頼できますか?

ご依頼いただけます。確定申告は日本本社からいただく給与情報をもとに完結する業務のため、日常の記帳を当社が担っていないお客様からもスポットで承っています。

Q. 年の途中で帰任する場合はどうなりますか?

帰任した年もフィリピンで勤務した期間がある以上、確定申告の義務が生じます。ただしBIRは年内の確定申告を受け付けておらず、手続きの開始は翌年1月以降となります。帰任後に会社が納税資金を負担すると日本側でも課税対象となり二重課税が生じるおそれがあるため、ご希望の企業様には、帰任前に申告書の作成・署名・納税資金の送付まで完了させ、翌年に当社が代理で申告・納税する対応も承っています。詳細は解説記事をご参照ください。

Q. 過去に申告していなかった分はどうすればよいですか?

遡っての申告に対応します。未申告の期間に応じてペナルティが発生する場合がありますが、事前に概算をご提示し、内容をご説明したうえで手続きを進めますので、まずは現状をご相談ください。

Q. 駐在員の給与情報が現地社員に知られることはありませんか?

当社は日本本社のご担当者様と直接やり取りし、出向先の現地社員を介さずに手続きを進めます。給与資料や計算結果が現地の社内に共有されることはありません。

Q. 納税はどのように行いますか?

納税資金を当社宛てにご送金いただくか、Manager’s Check(銀行小切手)をご準備いただきます。当社では納税資金の立替払いは行っておらず、お預かりした資金で納税を行ったうえで、納税の証憑をお客様にご共有します。資金の流れが記録に残るため、確実に納税されたことをご確認いただけます。

Q. 就労ビザがまだ取得できていない期間も申告の対象ですか?

対象です。ビザが未取得であっても、実態としてフィリピンに居住して勤務し、その対価として給与を受け取っていれば所得税の課税対象となります。フィリピン法人からの給与支給が始まっておらず、日本本社からのみ支給を受けている期間も同様です。

おわりに

駐在員の確定申告は毎年の義務でありながら、フィリピン税法・日本の給与制度・日比租税条約の3つにまたがる知識が必要なため、対応が漏れたり誤った処理のまま放置されやすい業務です。赴任者が1名の場合でも、未申告の期間がある場合でも、まずは現状の確認からお手伝いします。ご相談は初回無料面談で承ります。