税務調査対応とは

BIRの税務調査(Tax Audit)を受けた企業に対し、通知内容の精査から反証資料の作成、税務署との交渉、クロージング判断までを一貫して支援するサービスです。

フィリピンでは、株式会社・支店を問わず、設立数年後からかなり高い確率で税務調査が実施されています。目安として3年に1度程度、多い企業では毎年のように調査が入ります。そして税務調査では、企業の税務コンプライアンス状況に関わらず、まず巨額の追徴課税が提示され、その内容に反証する義務は納税者側が負います。反証には高い税務知識を要するうえ、各段階に厳しい対応期限が設けられており、期限を一つ逃すだけで反論の機会を失い査定が確定するおそれがあります。経験の少ない中での自社対応には大きな困難が伴う領域です。

税務調査の制度・プロセスの詳細は、解説記事シリーズをご参照ください。

税務調査のプロセス

税務調査のプロセスはBIRの通達で規定されており、原則はその規定プロセスに沿って進められます。ある日突然LOA(eLA、税務調査開始通知)が届いて正式な調査がスタートし、NOD(不一致通知)→PAN(事前査定通知)→FLD/FAN(最終査定通知)→FDDA(最終決定)と段階的に進みます。納税者側は各段階で、10日・15日・30日といった短い期限内に書類提出や反証を行い、時には管轄税務署の担当官と交渉して現実的な落としどころを探っていきます。

行政手続きで解決に至らない場合は、最終的にCTA(租税裁判所)での司法手続きに進みますが、数年単位の期間と多額の費用を要するため、できる限り早いステージでの解決を図ることが実務上の定石です。なお、CTA以降の訴訟対応は当社では承っておらず、税務に強い弁護士事務所等と別途ご契約いただく必要があります。

対応可能なサービス

① 通知内容の精査

LOA・NOD・PANなどの通知を管轄税務署から受領した際は、まずその内容を速やかに精査する必要があります。LOAでは要求されている具体的な資料、NODやPANでは管轄税務署の評価・指摘内容を確認し、必要なアクションを協議します。初動の精査を怠ると、期限内の対応が間に合わなかったり、取るべきアクションの方向性を誤るリスクがあります。

② 提出書類の収集・作成

LOAでは、膨大な量の資料をわずかな期限で提出することを求められます。主に会社情報・過去の税務申告書・付属書類の提出が求められ、1点1点抜け漏れなく提出する必要があります。一方で、要求されていない資料まで提出してしまうと、その後の調査で新たな指摘を受けるきっかけになるケースもあるため、要求された資料のみを過不足なく提出することが肝要です。当社では、提出資料の選別から収集・作成までをサポートします。

③ 反証レターの作成

NOD以降のステージでは、管轄税務署から評価・指摘内容が提示されます。大部分のケースにおいて受け入れ難い追徴税額が提示されますが、その多くは税務署側で十分な精査がされておらず、根拠が不十分なものです。納税者側が数値と法的根拠をもって一つずつ反証し、追徴税額の減額を毅然と要求する必要があります。反証レターでは要求内容とその根拠を明確に示すとともに、関連する契約書や納税済みの税務申告書の証憑などを補足資料として添付します。

④ 交渉への同席

税務調査のプロセスでは、管轄税務署の担当官との面談が発生するケースが多くあります。特に多いのが減額交渉です。追徴税額をある程度の水準まで引き下げる代わりに即時の支払いを行い、調査をクローズするという内容ですが、安易に応じると「追徴税額を獲りやすい納税者」という印象を税務署側に持たせ、次年度以降も調査のターゲットにされる恐れがあります。提示された減額内容・以降の対応工数・追徴税額の引下げ余地を天秤にかけ、長期的な視野で判断することが重要です。当社では交渉に同席し、必要な説明や判断のサポートを行います。

⑤ クロージング判断のコンサルティング

税務調査は、どこかのタイミングで妥結してクロージングを図らなければ、やがてCTAに突入します。対応を続けるほど労力と費用が嵩むため、追徴税額の引下げ余地と対応コストを総合的に見て、できる限り早いステージでクローズすることが理想的です。非常に見極めの難しい判断であるため、当社が判断材料を整理してご相談を承ります。また、調査で指摘された事項を改善しなければ次年度以降も同様の指摘が繰り返されるため、再発防止に向けた体制の是正についてもあわせてサポートします。

料金・ご利用条件

項目内容
着手金₱100,000+VAT(タイムチャージ20時間分に充当)
タイムチャージ₱5,000/時間+VAT
対象のお客様会計・税務業務を当社に委託しているお客様

税務調査は、どのステージまで進むか・反証作業がどの程度必要かの事前見積もりが困難なため、タイムチャージ制で承っています。対応時間はご報告のうえ進めますので、費用が不透明なまま膨らむことはありません。

本サービスは、会計・税務業務を当社に委託しているお客様に限定しており、原則として新規のお客様は対象外です。反証の土台となるのは過去の記帳・申告内容であり、日頃から貴社の数字を把握しているからこそ、短い期限内での迅速かつ的確な反証が可能になるためです。税務調査を機に経理体制の見直しをご検討の場合は、経理代行パッケージへの切り替えとあわせてご相談ください。

よくあるご質問

Q. LOA(eLA)が届きました。まず何をすべきですか?

記載内容(納税者名・税目・対象年度・担当調査官名)が正しいかを確認したうえで、すぐに当社担当者にご連絡ください。書類の提出はLOA受領から10日以内に求められるのが一般的で、初動の速さがその後の展開を左右します。

Q. 提示された追徴税額が巨額で驚いています。払うしかないのでしょうか?

NODやPANの段階で提示される金額は、税務署側で十分な精査がされていない、根拠の不十分なものが大部分です。適切に反証すれば大幅な減額に至るケースも多くあります。金額に驚いて安易に受け入れず、まず指摘内容の検証から始めることをおすすめします。

Q. 費用は総額でどれくらいかかりますか?

調査がどのステージまで進むかにより変動するため、事前の確定は困難ですが、着手金(20時間分)の範囲で初動対応から反証準備までを進め、以降の見通しは対応時間の報告とあわせて随時ご相談します。早いステージでクローズできるほど総額は抑えられます。

Q. 現在ほかの会計事務所を利用していますが、税務調査対応だけを依頼できますか?

原則としてお受けしていません。過去の記帳・申告の経緯を把握していない状態では、短い期限内に的確な反証を行うことが困難なためです。当社への経理業務の切り替えとあわせてのご相談は可能です。

Q. 調査が来る前にできる備えはありますか?

日頃から申告書間・財務諸表間の数値の整合性を保ち、証憑を体系的に保管しておくことが最大の防御になります。平時の備えは解説記事(税務調査②)にまとめています。個別のリスク診断をご希望の場合は、顧問契約・スポットコンサルティングでご相談ください。

おわりに

税務調査は、初動の速さと反証の質で結果が大きく変わります。通知が届いた段階で対応の方向性を誤ると、期限切れによる査定確定や不必要な追徴負担につながりかねません。当社の経理代行をご利用中のお客様は、通知を受け取ったらまず担当者にご一報ください。経理体制の見直しからのご相談も歓迎します。